「ネットワーク ID」 と 「ホスト ID」 の区切り方
今回は前回、予告したとおり、 IP アドレスの「ネットワーク ID」 と 「ホスト ID」 の区切り方 を説明します。
はじめに、前回のおさらいをしておきましょう。
コンピュータを識別する 「番号」 は 「IP アドレス」 というのでしたね。
そして、その 「IP アドレス」 は 「ネットワーク ID」 と 「ホスト ID」 に分けられます。
(かつ、「ホスト」 というのは、 「ぼく、いけめーん」 のホストクラブのホストではなく、「コンピュータ」 のことでした)こうすることによって、 「どのネットワークのどのコンピュータ」 ということが識別できるのでしたね。
さて、問題は 「ネットワーク ID」 と 「ホスト ID」 をどのように分けたらよいか、ということです。
その仕組みを説明する前に、「IP アドレス」 自体を、もう少し詳しく見ておきましょう。
IP アドレス は 32 ビットのデータ
以前、 IP アドレスは次のような、. (ドット) 区切りの4つの数字の組み合わせだ、と説明しました。
192.168.10.30
IP アドレスの例
実はこの表現はあまり正確ではありません。IP アドレスはもう少し正確に言うと、次のようにいえます。
IP アドレスは 32 ビットのデータです。
読みやすくするために 32 ビットを 4 つに区切り、8 ビットずつ 10 進数の数字で表記します。
(注) ビットというのは数字を 2 進数で表したときの 1 桁のことだと考えてください。 つまり、「32 ビットのデータ」 ということは 「32 桁の 2 進数のデータ」 ということです。
つまり、192.168.10.30 は次のように、. (ドット) 区切りのそれぞれのパートを 2 進数に直して考えるものなのです。
10進数 | 192 | . | 168 | . | 10 | . | 30 |
↑ | . | ↑ | . | ↑ | . | ↑ | |
2進数 | 11000000 | . | 10101000 | . | 00001010 | . | 00011110 |
つまり、11000000101010000000101000011110 という 32 個の 1 と 0 の並びが IP アドレスの正体です。
これではあまりにも読みにくいので、8 個ずつ 4 つの部分に区切り、それぞれの部分を 10 進数で表現したのが、 192.168.10.30 という IP アドレスなのです。
ここまで、いいでしょうか?何か質問はありませんか?
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ちなみに、10 進数と 2 進数の数字の変換は Windows 付属の電卓が使えます。 やり方は 電卓を使った 2 進数と 10 進数の変換 を見てください。
サブネットマスク ~ ネットワーク ID と ホスト ID を区別する
さて、話を元に戻して 「ネットワーク ID」 と 「ホスト ID」 をどのように分けたらよいか、という問題を考えましょう。
答えをいってしまいますと、実は 「IP アドレス」 はそれ単体で使うのではなく、
「どこでネットワーク ID と ホスト ID を区切るか」という情報もペアで考えるものなのです
(隠しててゴメンナサイ! )
「どこでネットワーク ID と ホスト ID を区切るか」 という情報は サブネットマスク といいます。
例えば、 IP アドレス 32 ビットのうち、最初の 24 ビットが 「ネットワーク ID」、後ろの 8 ビットが 「ホスト ID」 とするなら、 ネットワーク ID に対応する部分を 1 に設定、ホスト ID に対応する部分を 0 に設定して、サブネットマスクを下図のように設定します。
IP アドレス | 10 進数 | 192 | . | 168 | . | 10 | . | 30 |
↑ | . | ↑ | . | ↑ | . | ↑ | ||
2 進数 | 11000000 | . | 10101000 | . | 00001010 | . | 00011110 | |
サブネットマスク | ネットワーク ID | . | ホスト ID | |||||
2 進数 | 11111111 | . | 11111111 | . | 11111111 | . | 00000000 | |
↓ | . | ↓ | . | ↓ | . | ↓ | ||
10 進数 | 255 | . | 255 | . | 255 | . | 0 |
このように、 1 をずらずらーっと並べることによって、 「ここまでがネットワーク ID ですよ!」 と宣言するのです。
それではあなたのパソコンの IP アドレスの設定を、前回使った ipconfig コマンドを使ってもう一度見てみましょう。
ipconfig コマンドの実行の仕方を忘れた方は、「番号」 は 「IP アドレス」 を読み返してください。
確かに IP アドレスと一緒に、サブネットマスクも書いてありました。
このサブネットアドレスの情報によって、 「ネットワーク ID」 と 「ホスト ID」 を区別するのです。
IP アドレスの書き方
上の表の状態を例に取ると、IP アドレスはサブネットマスクもつけて、次のように書きます。
IP アドレス: | 192.168.10.30 |
サブネットマスク: | 255.255.255.0 |
または、「上から 24 ビットがネットワーク ID ですよ」 という意味で、次のようにも書きます。
192.168.10.30/24 |
/ (スラッシュ) の後ろの数字がネットワーク ID のビット数をあらわしています。
いかがでしたでしょうか?
「サブネットマスク」 を利用することによって、 「IP アドレス」 を正しく解釈できるようになります。
次回はもう少し具体的な例に当てはめて、理解を深めようと思います。お楽しみに!